近くにいた王子


ぶつかったそいつ。

切れ長な大きな目をして、かなり綺麗な顔をしていた。

確か隣のクラスのやつ。


「そんな急いで、これから部活?」


話したことなんてないのに、馴れ馴れしく声をかけてきた。

けど、嫌な気はしなかったんだ。


「うん、そうだけど」

「バスケ部だっけ?」

「え、知ってんの?」


そいつは、高橋陽人と名乗った。

陽人もバスケが好きで、よく体育館を覗いていたらしい。


これが、陽人との出会い。

陽人は俺にとって、大切な親友だ。


のちに彼女になる紗雪のことは、俺を通じて知ったらしい。

俺ってキューピット?

なんちゃって。




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