近くにいた王子
「ねぇー! 光、聞いてんの?」
聞いてるよ。
お前の声は嫌でも聞こえてくんだよ。
「彼女だろ? 俺は作んねーんだよ」
ある意味間違ってはねぇな。
アユ以外の彼女は作りたくないんだもん。
俺だってな、それなりにモテんだぞ。
高校入ってからすでに三人に告られた。
可愛いって人気の子もいたのに、俺はアユ以外本気になれないんだ。
「お前だって、彼氏欲しくて作ったわけじゃねーだろ?」
「そうだけど…」
「それと一緒。俺だって彼女にしたいって思う女が手に入んねーだけだよ」
「え? 光って好きな子、」
「さぁな」
アユの言葉を濁して立ち上がった。