近くにいた王子


「ほら。着替えるから出てけ」


俺はアユを部屋から無理矢理出した。


ったく、
こんな休日の朝っぱらから来やがって。

まだ夢の中だった俺の体を揺すって

『光起きてー! 重大発表!』

とか言うから何かと思ったら


彼氏ができたとか言い出すし。

目なんか一気に覚めちまって。

アユは嬉しそうな顔してるし。


今日は1日中寝る予定で、すごくハッピーな1日になるはずだったのに。

あいつのせいで一気にどん底だよ。


俺の気も知らねぇで。

自分だけ幸せになりやがって。

どうしてくれんだよ、俺の気持ちは。




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