涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
「…俺は、出来る、なんて言えない。」
ほらね?予想通り。
秋山くんだって同じじゃないか。
そう思った瞬間、でも、と続けて
「そうしたい、よ。
好きだから。
好きだから、そうしたい。」
ずるくったっていいよ、とあたしを抱きしめる力を強くした。
「…痛いよ、秋山くん。」
「分かってんだよ分かってる。
俺なりに、夏希がなんで携帯を見ないかとか分かってるつもりなんだよ」
何度も何度も分かってる、を繰り返して、それでいてあたしの肩に顔を埋める秋山くんにもう一度手を回す。
「だけどそれじゃあ…」
誰も幸せになれないだろ。
そんな優しい言葉が秋山くんの口から漏れた。