涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
「俺さ…怜君、に会ったんだよ。」
怜、という名前にピクリと体が反応した。
「…そりゃ、ほぼ毎日いってれば、会うよなあ…」
独り言のようにつぶやく秋山くんに、顔を伏せた。
「…鞠は、さ…毎日病院に行って、あのベンチに座ってるんだ。」
鞠さんは、怜のキオクノナカにいない。
鞠さんとの記憶は、あたしとの記憶となって怜の中にある。
「待つってさ、すげえ大変なことだよ」
…ねえ、秋山くん。
君は今、どんな気持ちでその言葉を呟いてる?
「…怜君、毎日泣いてるんだと。
大好きな誰かさんが現れないし、メールも返してくれないから。」