涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
「んで…なんで!?」
「…え?」
そして、その病室内に響くもう一つの声。
「鞠。」
それは鞠さんの、声で。
はっきりとした怜の声で、鞠さんの名前を呼んだ。
「あの日、俺たちは終わった、だろ?」
「私!!
うん、なんて言った覚えはないから!!」
「だけど…もう無理、だろ」
落ち着いた怜の声と、叫ぶように話す鞠さんの声。
対照的なその声に何か違和感を感じて仕方が無い。
「無理なんかじゃ、」
「俺が無理なんじゃなくて、鞠が無理、だろ!!」