涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜

「…なんで、そのときに入ってきてくれなかったの？」



平気そうな顔をして、瞳の奥だけは泣きそうになっていて…。


「動けなくなったからだよ。」


その瞳に気づかないふりをして、あたしも強がった。


本当は、近寄りたかった。

本当は、抱き締めたかった。

本当は…"泣いてもいいんだよ"と、頭を撫でてあげたかった。

だけど、それは、今することじゃなくて。



「殴りたい？蹴りたい？
もう2度と顔も見たくないって怒る？」


"今の"怜と向き合うことが、今、するべきことだと思った。


怜だって年を重ねた。

いつまでも子供じゃない。

可愛い可愛い弟だと、そう思い続けることなんて…無理なんだから。