涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
ドアの隣の壁に背中を預けて座り込む。
青々として爽やかな空はあたしの心とは真反対。
「綺麗…」
どれだけ泣いても
怜と付き合えるわけではない。
どれだけ想っても
怜と付き合えるわけではない。
何年一緒にいたって
報われない恋だって存在するんだ。
「鞠、ちゃん…かあ…」
お嬢様。
あたしなんかとは全く違うお嬢様。
「世界が…違うよ。」
なんて言葉を紡ぎ出した瞬間、
「へ…?」
視界が一瞬、真っ黒になって間抜けな声が出る。