涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜



「な…「夏希。」


ぐいっと引かれた腕の主。

それは秋山くんで。


「落ち着け。冷静になれ。」


あとで後悔するぞ、とあたしにだけ聞こえるほどの小さな声でそう言って背中に隠された。


「怜、くん。
君はいつ記憶が戻った?」

「ッ…だから!!」

「巻き込まれた人間ですら駄目なのかよ。」

「あんたには、関係ないだろ!!」

「関係なくねえよ!!

鞠が毎日泣いてたときも。
お前が記憶がごっちゃになって、病室内に入れなかったときもそばに居た。」


これはお前らに関係あることだろ、と半ば睨みつけるようにそういった。


「…夏希、鞠。
二人とも廊下に出てて。
怜君と2人で話がしたい。」


ごめんな、と続けてそう言ってあたしたちを病室から出させた。

怜の顔は俯いていて見えない。

鞠さんも唇を噛んでいた。




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