涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
俺と私の嘘を。



前川怜side



鞠と夏希の去った病室内。

なぜか俺は、"ちぃくん"と2人きりになっていた。


「あのさ。」


関係ない、と叫んだのは、一種の維持だった。

特に何かこれといった理由があったわけでは…いや、あったけど。


「いつから記憶が戻った?」

「…秋山先輩と会ったあの日、です。」



もう隠す理由なんてないから、そういうと、


「お前さ、本当に…記憶が戻っても戻らなくても、夏希でいっぱいなんだな。」


全て見透かすようにそういって笑った。


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