涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
それぞれの心を抱えて
葉月夏希side
苦しく、叫ぶように。
怜の気持ちを代弁するようにそう告げた鞠さんは、涙を零していた。
どれだけ会いたかったか?
…そんなの、あたしだって会いたかった。
だけど、鞠さんの代わりだって思われて、違う姿を見ている怜と関わるのが怖かった。
「なにも…なにも!!
鞠さんは知らないじゃないですか!!」
言い出したらきりがないこと。
そんなの分かってる。理解してる。
…だけど。
「っ…、鞠さんと怜が…本気で付き合ってたと思ってた、あたしには…っ、」
あなた、というフィルターをつけられるのが怖かった。
鞠さんという名の記憶の中に、あたしという存在が書き込まれるのが嫌だった。
「怖いもの、…っ、だらけじゃ、ない…です、かっ…!!」