涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
秋山君は危険人物
「で、秋山智尋と二人で泣いて、メアドを交換した、と。」
放課後、学校近くの喫茶店の中で今日起きたことを美羽に報告した。
「うん。」
「アホか、君たちは。」
「え、なんで!?」
「傷心者同士、傷をえぐりあってるじゃん、それ。」
切なさを倍増させてるだけじゃない、といった美羽に適当に笑ってごまかした。
傷をえぐりあってる…か。
それはちょっと違う気がした。
「そんなんじゃないって。
秋山君とはさ。」
「じゃあ、なに?」
なに?と聞かれると困る。
しいていうなら…
「同じ境遇に立つ人間との関わり合い…。
なんていうか、お互いがお互いの相談相手…的な?」
「なにそれ?」
意味わかんないし、と文句を言う美羽に、まあえぐりあいじゃないよ、と訂正して、目の前に置かれたコーヒーに手を付ける。
友達と言うには、何かが足りなくて、だけど、知り合いと言うには深い事情を知り合ってしまった。
そんな曖昧な関係を示すことができるのは、これしかないと思ったんだ。