涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
カバンを肩にかけて、図書室を出る。
「…」
隣…ではなく、斜め45度後ろを歩く智尋に小さく笑がこみ上げる。
距離の取り方が分からない、という困惑した表情をしてると思うと、どうしても声をかけずらい。
「…夏希」
「んー?」
「…ありがとな」
何に対してのお礼かは分からなかったけど
「どういたしまして」
とりあえず笑って、そう言って振り返ると、優しい眼差しであたしを見る智尋がいて。
ほんの少し、顔が熱くなるのを感じた。