涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
それから、あたしたちの間には、分かれ道まで会話がなくて。
でも。
心地よくて。
「…じゃあ、」
「やっぱ送ろうか?
ほら…暗いし」
「いや、いいよ。
ありがと」
心配そうな顔をして、あたしの顔を覗き込む智尋に笑って見せた。
心配性だ、この人は。
「いや…でもさ、」
「大じょ…」
そして、大丈夫だから。ともう一度言おうとしたその瞬間、
「…俺が送るんで、秋山先輩は帰っていいっすよ?」
あたしと智尋の間に、智尋を睨みつけるように
「なに…してんの?」
怜がいた。