涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
「怜?」
なんともこの気まずい空気を読まないあたしの声。
…いや、わざとだけど。
「ちょっと夏希は黙ってて」
ばさりとあたしの言葉を切って、智尋を睨みつける。
「いや、で「だから黙ってろって」
…話させろよ!!!!!!
という本音を持ちながら、怜の本気で怒る目にビクついて何も言えないのが現状で。
「…秋山先輩。
宣戦布告、ありがとうございました」
「…別にお礼言われることじゃなくね?」
「夏希に向き合う覚悟、やっとできたんで。」
「それってさ…」
その言葉の後に続く言葉はわからなかった。
なぜなら。
「ちょ…智尋!!」
怜の襟を掴んで寄せてから言葉を発したから。