涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
「冷静な頭を持てねえの?
ガキだろ」
「っ…!!」
智尋の煽る言葉に、悔しそうに奥歯を噛みしめる怜。
落ち着き払ってるくせに。
冷めた言葉を吐くくせに。
心はきっとそうじゃないんだろうなって分かる。
ねえ、智尋。
そうでしょう?
「…お前が何かんがえてるのか知らないけどさ…
あんま余裕ぶっこいてんじゃねえぞ?」
「別に余裕なんか…!!」
「だったら、大切な"姫さん"捕まえておけよ」
"姫さん"が誰なのか、なんて分からないけれど。
これ以上は、駄目。駄目だ。
きっと二人の言い合いは終わらない。
「…智尋も怜も帰ろ。
智尋、送ってくれてありがとう。
怜、帰ろ」