涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜



グッと唇を噛んで、あたしの腕を掴んだ怜は、昔の彼よりも断然男の子。


「…行こ」


あたしの言葉に智尋は、小さく笑って手を振ってくれて、悪いな、と思いながらその場を後にした。





怜と二人での帰り道。

優しく握られた手に、そっと握り返す。


「…夏希、は。」

「ん?」

「夏希は今、俺のこと、好き?」


不安げに揺れるその瞳に囚われながら、その質問に笑って答える。


「好きだよ」


好きだよ、好き。

嘘なんてそこにはない。


「じゃあ…秋山先輩は?」


ギュウ、と。握られた手に力が入った。





< 232 / 420 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop