涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
グッと唇を噛んで、あたしの腕を掴んだ怜は、昔の彼よりも断然男の子。
「…行こ」
あたしの言葉に智尋は、小さく笑って手を振ってくれて、悪いな、と思いながらその場を後にした。
怜と二人での帰り道。
優しく握られた手に、そっと握り返す。
「…夏希、は。」
「ん?」
「夏希は今、俺のこと、好き?」
不安げに揺れるその瞳に囚われながら、その質問に笑って答える。
「好きだよ」
好きだよ、好き。
嘘なんてそこにはない。
「じゃあ…秋山先輩は?」
ギュウ、と。握られた手に力が入った。