涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
「そうだね。
…ありがとう、夏希。」
「ううん。
どういたしまして。」
ふんわりと笑って見せた秋山君に、あたし教室戻るね、と告げて、互いにバイバイと言い合う。
あたしたちは屋上でしかあわない。
校内で会ったとしても、声を掛け合ったりなどしない。
それが自然と成り立ったルールだった。
お互い干渉しあいたいわけじゃない。
あの二人の情報を得たいだけ。
少しでも早く、忘れられる方法が知りたかっただけなんだ。