涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
「二兎を追うものは、一兎をも得ず。」
まさしくその言葉だと思った。
「二人が大切なのは分かってる。
だけど、そのままじゃ、怜君も秋山も傷つけてるだけだよ。」
傷つけないように。
傷つけないように、ただ守るだけじゃもう…ダメ、なんだ。
「怜君を恋愛感情で好きじゃないって気付いた時点で、決意は出来てたんでしょう?」
あのときした決意は、怜のあの声に崩されてしまったけれど。
確かに一度した決意は…
「…智尋、に、告白、しようと…思った。」
あのとき、あたしは怜を傷付けてでも、智尋に気持ちを伝えようとした。