涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
言うって決めて言っても、やっぱり緊張するものは緊張する。
力を入れても言うときには、小さな小さな声。
「ち、ちひろ…?」
返事がなくて、聞こえなかったのかな?と智尋の名前を呼ぶ。
…これは聞こえてなかったって言う解釈でいいのか?
「あの智尋さん。
好きですよ?
怜じゃなくて、あたしの好きな人は智尋、です。」
言い直してるのがなぜかアホらしかった。
さっきまで緊張して言えなかったのに。
さらさらと出てくる言葉たちに驚きながら、恥ずかしいとかそんな気持ちは消え去っていた。