涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
顔が見たい。
恥ずかしがってるなら、余計に見たい。
「智尋おろして!!」
「は!?やだよ!!」
バッサリと言い切った智尋は、もう一度あたしを担ぎ直して、歩みを進める。
「なんでよ。」
むすっとしたまま、そう聞くと、
「顔見られたくたい…のと、夏希怪我してんだろ、忘れてんじゃねえよ」
呆れたようにそういって、ゆっくりと歩く。
「あ、そうだった」
嗚呼、どうしよう。
また一つ、智尋を好きになった。