涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
クラスメート達全員に配られた答案用紙。
教壇の上で、先生が口を開く。
「今回のテストの平均は、57点だ。
学年最高点は、89点。」
うえー。まじかよー。
そんな声が四方八方から聞こえてくる。
喜ぶべき点数のはずだ。
笑って聞いていても、いいはずの点数のはずだ。
ーーーなのに。
頭の中を支配するのは、どうしようもない独占欲。
鞠さんと智尋のことしかない。
自分だって、怜と色々なことをしていたというのに。
「はあ…」
テストの結果で騒がしいクラスの中。
ため息をついたところで、誰一人として気づかない。