涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜




ゆっくりと離された体は、寂しさをうったえそうになる。

家に帰れば、あたしの気持ちを露ほどにも知らぬ怜が、また鞠さん自慢をしに来るのだろう。

その時間が、大好きだけど大嫌い。

伏せた目は、秋山君の足元をうつしだすだけ。


「おくるよ。」

「え?」

「家まで送る。」


いつもならそんなことを言わない秋山君が言った、"送る"という言葉。

それほどまで、ボロボロになっているのを気づかれてしまっているのか、あたしは。


< 45 / 420 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop