涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
ゆっくりと離された体は、寂しさをうったえそうになる。
家に帰れば、あたしの気持ちを露ほどにも知らぬ怜が、また鞠さん自慢をしに来るのだろう。
その時間が、大好きだけど大嫌い。
伏せた目は、秋山君の足元をうつしだすだけ。
「おくるよ。」
「え?」
「家まで送る。」
いつもならそんなことを言わない秋山君が言った、"送る"という言葉。
それほどまで、ボロボロになっているのを気づかれてしまっているのか、あたしは。