涙恋〜甘えた幼なじみの忘れ方〜
距離なんて近くない。
むしろ、友達といる時よりも遠いくらいだ。
あたしの家へまでの帰り道。
隣を歩く秋山君の方をちらりと見る。
欠伸をして、目に溜まった涙を拭う秋山君は、色気たっぷり。
…いや、そこに色気は必要ないだろ、秋山君。
心の中でそうツッコむと、あたしの視線に気づいた秋山君はこちらを向いた。
「なに?
俺の顔になんかついてる?」
「…ううん、ついてないよ。」
「そか。」
色気はついてるんじゃないかな、と心の中で嫌味を言って、視線を前に戻すと、あたしの家が見えて…
そして、あたしの家の前。
二つの人影があった。