携帯小説
序章〜消失〜
今日初めて手にしたスマートフォン
今の時代の高校生としてはだいぶ遅い方だと思うけれど、それだからこそ、ボタンのない画面が新鮮だった。
うわぁ・・・やっぱり綺麗だなぁ・・
もちろん、見たことはあった。
友達に貸してもらって触ってみたこともあったし、そんなに珍しい物でもない。使い方もある程度分かるだろう。
しかし違う。初めて自分の物として手に入れたこの嬉しさ。これは、誰かから貸してもらったスマートフォンとは遥かに重みが違う。否、軽さが違うというべきだろうか。
まあともかく、感動したのだ。
さて、この感動を噛み締めるべく、ずいぶんと長い間真っ暗な画面とにらめっこしてきた私だったが、いかんせん、いくら綺麗な画面であろうと見つめ合って楽しむのに限界はある。なんせこうし始めてから35分は経っている。いい加減こいつにも命を吹き込もうじゃないか。
と、電源を入れる。
・・・ん?
・・・つかないぞ
なんだ、ここまで感動させといてまさか、とは思うが、故障??
いやいや待て待て、私の携帯に限ってそんなことは、な、何かの不具合だ、うん、きっとそうだ。
落ち着いて画面を見直す。
・・・・よし、もう一度だ
そう呟いて再び電源ボタンを押した時、
っえ!!?
急に画面があり得ない程の強い光を放ったかと思うと、私は消えた。
後に新品のスマートフォンだけを残して!