ルナティック・コンチェルト
「顔が真っ白で、ものすごい速さで追いかけてくるんだって!」
「赤く光る眼と銀髪で、深夜の森に入ると食い殺されちゃうらしいよ!」
「行方不明になった子が何人もいるんだよ!」

とかなんとか。
三流ホラー映画の設定じゃあるまいし、そんな化け物がいたら警察も来て大騒ぎしてるっての。
辟易とした私の視線に友人の一人が気付いたのか、首を傾げる。
「伊月ちゃんは、怖くないの?」
もちろん、私の答えはイエス。そんなものいるわけがない。怖くないよ、と切り捨てた。
「じゃあ、伊月ちゃん」
クラスの視線が私に集まる。
「今日、行って動画撮ってきて!」
「ーーーはぁ?」
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