【彼女のヒミツ】
中尾は館内の壁時計を見ると、時間ないよ、早く行こ、と二人を急かした。

中尾のペースに流されながら、玲と里子は中央図書館から出た。

すると里子が口を開いた「な、中尾くん。お、お金持ってるの?」

彼は黙ってポケットから財布を出すと、開けて二人に見せた。

札入れには千円札が一枚だけ入っていた。

玲と里子は、ぽかんと口を開け止まった。

中尾はふふんと鼻を鳴らすとこういった「あの交差点からお金がやってくるから、見てろっちゅうの」

彼はカウントダウンを始めた。五…四…───すると交差点の曲がり角から、三人の知る人物が、すっと自転車に乗って顔を出した。

中尾は予想に反し、彼が早く登場したので、三から一までの数字を早口でいった。

自転車に乗る彼。それは仲間礼二だった。

礼二が三人に気づかず、反対方向へ行こうとするので、中尾は声を上げた。

「れいじく~~ん」




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