【彼女のヒミツ】
里子は自分をひどい奴だと思っているだろう。中尾を罵倒した現場も見ているに違いない。
───仲間くんは良い人だよ。
不意に夏休み最後の日に里子がいった言葉が甦る。
「どこがだよ」
礼二は宙に向かって呟いた。自分は良い人間なんかじゃない。眼鏡を乱雑に外した。
周りの状況や評価を気にして、自身の尊厳を守り、他人の目を常に気にしている偽善者さ。
クールで知的なのも、装っているだけ。女性の裸に興味あるし、毎日のように自慰に耽っているウキウキのお猿さ。
玲が自分の誕生日を口にした時、すぐ頭にインプットしたいがために覚えた方法は何だと思う?
彼女の誕生日は十二月六日。ワン、ツー、シックスと英数字に転換し、
シックスをセックスに置き換え、ワン、ツー、スリーをもじって、ワン、ツー、セックスって覚えたんだ。
一、二も先にセックスをしようって語呂合わせたのさ。これにより玲の誕生日を一瞬で記憶できた。
「ははは」
礼二は視線を砂利道に向け、自身を皮肉るように笑った。
自分に友達を作る権利はない。そう思った時、背後に気配を感じた。
礼二はゆっくり振り返った。彼は俯いていたので、最初に目に飛び込んできたのは制服のスカートだった。
セーラー服。
うちの生徒じゃない。
そう思い視線をあげ目を細めると、そこに立っていたのは水谷 玲だった。
丁度彼女のことを考えていただけに、どぎまぎした。
「やっぱり仲間くんだったんだ」玲の第一声だ。
「向こうからきたんだけど」彼女は杉箕橋の西向こうを指差し
「仲間くんらしき人がいるなぁって思って来てみたの。
でもまさかって…違ったらどうしようと、なかなか声かけられなかったけど、仲間くんが振り向いちゃったね」玲は笑顔をみせた。
夕日が彼女の顔を山吹色に染め、明るいセピア写真を見ているようだった。
「きれいだ」
礼二は思ったことをそのまま口に出していた。
「え?」
玲は数回瞬きした。
「あ………」礼二は少し間を置いてから、玲に背を向け「夕日が」と答えた。途端に心臓が高鳴ってきた。
玲は眩しそうに夕日をみると「ほんとだね」しみじみと云った。
───仲間くんは良い人だよ。
不意に夏休み最後の日に里子がいった言葉が甦る。
「どこがだよ」
礼二は宙に向かって呟いた。自分は良い人間なんかじゃない。眼鏡を乱雑に外した。
周りの状況や評価を気にして、自身の尊厳を守り、他人の目を常に気にしている偽善者さ。
クールで知的なのも、装っているだけ。女性の裸に興味あるし、毎日のように自慰に耽っているウキウキのお猿さ。
玲が自分の誕生日を口にした時、すぐ頭にインプットしたいがために覚えた方法は何だと思う?
彼女の誕生日は十二月六日。ワン、ツー、シックスと英数字に転換し、
シックスをセックスに置き換え、ワン、ツー、スリーをもじって、ワン、ツー、セックスって覚えたんだ。
一、二も先にセックスをしようって語呂合わせたのさ。これにより玲の誕生日を一瞬で記憶できた。
「ははは」
礼二は視線を砂利道に向け、自身を皮肉るように笑った。
自分に友達を作る権利はない。そう思った時、背後に気配を感じた。
礼二はゆっくり振り返った。彼は俯いていたので、最初に目に飛び込んできたのは制服のスカートだった。
セーラー服。
うちの生徒じゃない。
そう思い視線をあげ目を細めると、そこに立っていたのは水谷 玲だった。
丁度彼女のことを考えていただけに、どぎまぎした。
「やっぱり仲間くんだったんだ」玲の第一声だ。
「向こうからきたんだけど」彼女は杉箕橋の西向こうを指差し
「仲間くんらしき人がいるなぁって思って来てみたの。
でもまさかって…違ったらどうしようと、なかなか声かけられなかったけど、仲間くんが振り向いちゃったね」玲は笑顔をみせた。
夕日が彼女の顔を山吹色に染め、明るいセピア写真を見ているようだった。
「きれいだ」
礼二は思ったことをそのまま口に出していた。
「え?」
玲は数回瞬きした。
「あ………」礼二は少し間を置いてから、玲に背を向け「夕日が」と答えた。途端に心臓が高鳴ってきた。
玲は眩しそうに夕日をみると「ほんとだね」しみじみと云った。