【彼女のヒミツ】
7.
「なに読んでるの?」
礼二が玲に読んでいる小説の内容を訊いた。彼女が既に読書家であるのは知っている。
「えっとね。今は『くもりのちボクサー』ってやつ」そういうと玲は小説の表紙を礼二に見せ、あらすじを説明した
「現役プロボクサーの奥さんが主人公の話でね、辛い練習や過酷な減量を陰で一生懸命支えるんだけど、
旦那さんは平凡な成績しか残せないの。まだ全然読んでないんだけど、なかなか面白いよ。感動できる話なんだって」
「そう。誰かに勧められたの?」
礼二はなんとなく先行きの読める物語だなと思いながら訊いた。
「うん。クラスメイトの子に借りたの。映画化にもなるんだって、たしか来春あたりかな」
「映画か……」
「一緒に観に行こっか?」
突然の玲の誘いに礼二の身体が硬直した。途端に背中が熱くなる。
「ふ、二人で?」
礼二がそういうと、玲は「えっ」短く声をあげた。彼女の驚いた表情で、
玲は二人ではなく四人で映画に行こうかといったのだなと汲み取った彼は
「あ。あー。四人だよね。うん。四人で行こうか」
先程の言葉を訂正で補う形でいう。笑顔は引きつっていた。
「ふたりで……行く?」
玲がぽろっと口にした。
「…え」
礼二は疑問符をつけるような声を出した。
彼女の顔は恥ずかしさで、少しこわ張っている。室内に胸の高鳴りが響いてるように礼二は感じた。短い沈黙が流れた。
「ふたりで───」
『行こうよ』そう礼二が声を出しかけた時、ドアの横滑る音がした。
礼二が玲に読んでいる小説の内容を訊いた。彼女が既に読書家であるのは知っている。
「えっとね。今は『くもりのちボクサー』ってやつ」そういうと玲は小説の表紙を礼二に見せ、あらすじを説明した
「現役プロボクサーの奥さんが主人公の話でね、辛い練習や過酷な減量を陰で一生懸命支えるんだけど、
旦那さんは平凡な成績しか残せないの。まだ全然読んでないんだけど、なかなか面白いよ。感動できる話なんだって」
「そう。誰かに勧められたの?」
礼二はなんとなく先行きの読める物語だなと思いながら訊いた。
「うん。クラスメイトの子に借りたの。映画化にもなるんだって、たしか来春あたりかな」
「映画か……」
「一緒に観に行こっか?」
突然の玲の誘いに礼二の身体が硬直した。途端に背中が熱くなる。
「ふ、二人で?」
礼二がそういうと、玲は「えっ」短く声をあげた。彼女の驚いた表情で、
玲は二人ではなく四人で映画に行こうかといったのだなと汲み取った彼は
「あ。あー。四人だよね。うん。四人で行こうか」
先程の言葉を訂正で補う形でいう。笑顔は引きつっていた。
「ふたりで……行く?」
玲がぽろっと口にした。
「…え」
礼二は疑問符をつけるような声を出した。
彼女の顔は恥ずかしさで、少しこわ張っている。室内に胸の高鳴りが響いてるように礼二は感じた。短い沈黙が流れた。
「ふたりで───」
『行こうよ』そう礼二が声を出しかけた時、ドアの横滑る音がした。