【彼女のヒミツ】
「あれ、お里はまだ来てないみたいだねぇ」
いきなりの中尾の登場で、礼二と玲は驚きのあまり悲鳴に近い声を上げた。
「どしたの?」
中尾は二人の様子をはてなまーくのついた顔で眺めている。
「いや、いきなり入ってくるから」礼二が焦りを殺しながら答えた。
中尾は二人の姿を交互に見つめると唇を尖らせ「ふぅーん」といった。
「さっちゃんは一緒じゃなかったんだ」落ち着かない様子で玲が中尾に訊いた。
「うん。探したんだけどね、見当たらなかったし、てっきり先に行ったもんだと思ったちゅうの」
そういえばいつも一番か二番目に来ている里子がまだ現われないなんて──と少し妙だなと礼二は思ったが、その内来るだろうと心配はしなかった。
にこにことした表情で中尾が玲に話し掛けている。
中尾───学校でどんなひどい悪質な言葉を投げても、数時間後には何事もなかったようにひょうひょうと話し掛けてくる。思ったことをなんでもぶつけられる友人だ。
友人という単語に礼二は『あっ』と思った。これまで友人だと評した人間など一人もいなかったからだ。
いきなりの中尾の登場で、礼二と玲は驚きのあまり悲鳴に近い声を上げた。
「どしたの?」
中尾は二人の様子をはてなまーくのついた顔で眺めている。
「いや、いきなり入ってくるから」礼二が焦りを殺しながら答えた。
中尾は二人の姿を交互に見つめると唇を尖らせ「ふぅーん」といった。
「さっちゃんは一緒じゃなかったんだ」落ち着かない様子で玲が中尾に訊いた。
「うん。探したんだけどね、見当たらなかったし、てっきり先に行ったもんだと思ったちゅうの」
そういえばいつも一番か二番目に来ている里子がまだ現われないなんて──と少し妙だなと礼二は思ったが、その内来るだろうと心配はしなかった。
にこにことした表情で中尾が玲に話し掛けている。
中尾───学校でどんなひどい悪質な言葉を投げても、数時間後には何事もなかったようにひょうひょうと話し掛けてくる。思ったことをなんでもぶつけられる友人だ。
友人という単語に礼二は『あっ』と思った。これまで友人だと評した人間など一人もいなかったからだ。