【彼女のヒミツ】
「うん。そうだね。文章もなるべく簡潔にまとめるように努力してみるね」

二人は中央図書館に戻ると、さっそく絵本の製作に取り掛かった。

何度か相談した結果、こなたにだけ言語能力を与えることで、二人は納得した。

二時間ほど経過した時、玲が小声で云った。

「さっちゃん、ちょっと見て」

争いを止めない人間達に、こなたが警告を発する文面を里子に見せた。ラストに近いシーンだ。

『こなたは、だいとうりょうにピストルでうたれました

バーン

こなたのからだから、あかいちがたくさんでました

そのからだで、こなたはひとびとにいいました

ひとをころすのは、わるいことだ

へいわは、ひとりではつくれない

みんなでちからをあわせてつくりあげていくしかないんだ

そういうと、こなたはたおれました』

「このパターンか」玲は小声だ。「こっちのパターン」

『こなたは、ひとびとのまえで、だいとうりょうをけんじゅうでうちました

バーン

ひとびとは、あわてました

こなたはひとびとのまえでいいました。これでへいわがやってくるのだろうか?

いや、やってこないだろう

せんそうをはじめようとするわるいひとは、なんどでもいれかわりやってくるんだ

へいわはみんなでちからをあわせてつくっていくしかないのだ』

里子は文面を何度も読み、こなたに人殺しをさせるのはやっぱりよくないと見解した。

すると玲は、うん、わかったと片目をつぶり同意を示す。

玲はちらりと里子の絵を見た。やっぱうまいな、胸の中で呟いた。

さっちゃんは昔から勉強もできて、絵も上手かった───






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