無口な同期とイチャラブ♡オフィス


サク。サク。サク。

砂浜を歩くふたりの足音が波音の合間に聞こえる。


普段は人より1,5倍は饒舌な私もさすがに緊張してなかなか言葉が出てこない。

何回恋したって、この緊張には絶対に馴れない。馴れないのが嬉しい。


優吾の後ろを静かにサクサク歩いていると

「ここから見えるかな」

振り返った優吾が突当たりの岩場を指差して言った。


「そだね。方角的にもここが良さそう」


波の音しか聞こえない静かな岩場。そこの隅っこにピョンと腰掛けて膝を抱える。

その体勢で空を見上げ花火を待っていると、隣に優吾が静かに腰を降ろした。

……思ったより、距離が近い。

微かに伝わってくる彼の体温に心臓が飛び跳ねそうになった時

「あ」

夏の夜空に大きな花が咲いた。


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