無口な同期とイチャラブ♡オフィス


「……あー……うーー」

「ちょっと、ギュってしたくなったから」


驚いてドキドキして言葉が出てこない私を抱きしめながら、優吾は静かな声でそう言った。


そうして、パッと手を離すと

「またね。いってらっしゃい」

彼より30センチ低い私に目線を合わせて、ニコリと微笑んでくれた。


「うん……行って来る。またね。後でライン送るね。電話も。スケジュール詰めるから夏休みにまた会おうね」


好きだよ優吾。とっても好きだよ。


後ろ髪を引かれながらも、優吾がくれたドキドキを抱えて私は駅へと向かった。何回も振り返って馬鹿みたいに手を振りながら。



本当は家に帰ってから、シャワーで汗を流して飲み会に行くつもりだったんだけど。

なんだかさっきの“ギュッ”がもったいなくて。


「大丈夫かな。シャワー浴びなくても汗臭くないよね」


私は楽しみにしていた飲み会に、身体に染み付いた優吾の温もりごと連れて行くことにした。



恋をしてるといっぱい幸せで、ちょっぴり切ない。

そんな、恋人二日目。






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