無口な同期とイチャラブ♡オフィス


だって、優吾との関係は、社内恋愛は、秘密なんだもん。

柴木ちゃんとジョージ以外、会社のひとは誰も知らない。知られないように頑張ってる。

なのに、ここで言っちゃっていいのかな。唐沢さんはうちの社員じゃないけどさ。でも3月まではほぼ毎日うちに来るし、ましてやデスク部門の優吾とは一緒に仕事をするワケだし。

言い触らしたりはさすがにしないだろうけど。でも優吾と唐沢さん、仕事しづらくなっちゃわないかな。

どうしよう、言っていいのかな。でも言わなくちゃ優吾の誤解解けないし。


私がそんな風にウダウダ迷っていると

『悪い、りんちゃん。実は俺、今本社来てて仕事中だから長電話できないんだ。また後で掛け直すよ、じゃあな』

「あっ!待って!」

唐沢のオッサンはそう言って、アッサリと通話を切った。ツーツーと虚しい音が私の耳に残る。

……な、なにも解決しなかった。

あまりの惨状に私はしばしボーゼンとしてから、ノッソリと重い溜息を吐きながら洗面所の扉を開けた。

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