無口な同期とイチャラブ♡オフィス


ギィ、と扉を開いてすぐに大きな人影が立ってる事に気が付いて、私は口から心臓を飛び出させそうになる。


「ゆっ優吾!?いたの!?」


扉の横の壁に寄りかかって腕を組んでいた優吾は、驚いている私を見つめると重たそうに口を開いた。


「りんか、なかなか戻って来ないから」


……もしかして心配して様子見に来てくれたのかな。

さっきまで怒ってたのに、そんな心遣いが嬉しくて私の口元が緩みそうになった時。


「……唐沢さんと一緒に食事行くつもりだったの?」


嫌な物でも吐き出すような口振りで、優吾が私に問い掛けた。

げげげ、電話聞こえてた!?いや、別に聞かれたって何もやましくはないけどさ。ないはずなんだけどさ。

でも、断片的な情報は誤解を加速させるには充分だった。


「あ、あの。……美味しいキッシュのお店行こうって前から誘われてて……でも、あの、断ったから」

「なんで誘われた時すぐ断らなかったの?」


モゴモゴと言い訳する私の言葉を、優吾がもっともな質問で一刀両断する。

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