いつかきっと
「……なんで、自分の方がつらい時に人の心配するの……?」
すばるに触れられた手をゆっくりと離す。
「すばるは優しすぎるよ。
お母さんが出ていった時だって、もっと文句言っていいんだよ?
お父さんに殴られたら、殴りかえしていいんだよ?
もっと、自分の感情を大切にしていいんだよ。
すばるはすばるでしょ。
すばるは『ピアニストの父親の息子』じゃないじゃん!」
強い口調で荒い息をたてながら言った。
思わず熱弁してしまったけど……この言葉、過去の私に向けた言葉でもある。