いつかきっと



「あっ……」



私の隣を歩いてたはずの香鈴がいきなりとまって下をうつむいた。


「香鈴?」


「……行きたい店あったんだ。少しもどんなきゃいけないけど、行っていい?」



声自体は震えてないけど、香鈴が動揺していることが、あからさまにわかる。



「別にいいけど」


「ありがと、行こっ」




香鈴が私の手を引っ張って走り出す。


人波なんて関係なく、大胆に人の肩にぶつかりながら。

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