いつかきっと
前の私だったら、勝手にそう思って、勝手に悩んで落ち込んでるんだろうな。
でも、今は違う。
私もすばるも。
─────ジャン♪
最後は余韻が残るように力強く、なおかつきれいなフィニッシュだった。
「先生、これなんて曲なんですか?」
隣にいる先生の顔でなく、うっすらと見えるすばるを見つめながら聞く。
「ベートーベン作曲の『春』という曲よ。すてきな曲だと思わない?」
「……はい」
春……。
春。
何度も曲名を繰り返す。