桜の約束
「じゃ、そろそろ帰ろうかなぁ」
…あれ?胡散臭くない笑顔だ。
桜を見つめる目が暖かい。
にっこりと優しく微笑んで、サヨウナラ。
いつも、桜の家にいる時間は短いからいつも通り。
「え?もう帰っちゃうの?」
残念そうに桜が言う。
いつも通りの時間だけど、いつも桜は帰る時にこれを言う。
1人でいたくないのか。
あたしたちが帰ってしまうのが嫌なのか。
「また来るよ」
より一層暖かな笑みを見せる。
「また来るねっ!」
十夜に習って言って、手を振る。
後ろを振り向かずに部屋を出た。