桜の約束
「あら、2人とも帰るの〜?」
間延びした声が、玄関に向かうあたしたちを止めた。
「あ、はい。もう今日は帰ります。また遊びに来ます」
ぺこりと頭を下げた。
「そう〜?なら、気を付けてね。
あ、そうそう。今度、守君も連れて来てくれるかしら〜?」
「え?なんでですか?」
「うん、それはね〜。
あの子、桜の木ばっかり気にしてるのよね〜。だから、かしらね〜」
桜の木…つまり、守のことか。
納得納得。
桜の周りは、桜と守を想う人が多いよね。
「でも…多分、来ない「連れて来ます。いつになるかは、わかりませんけど」」
何時もののんびりとした口調を放り投げた、キビキビした話し方をする十夜が、あたしが話しているのに割り込んでくる。
うん、そっちの話し方の方があたし好みだわ。
って、その前に。
遮らないでよ。
「十夜君、任せるわ〜」
「はい」
……お母さん世代の年齢の人が好きなのかなぁ??
と思わず言ってしまいそうになるほど、煌びやかな笑顔…。
謎だわ。