桜の約束
桜の家を後にして、十夜を前に歩いた。
行きに見た桜の木の下。
そこには変わらず、守がいた。
守がこちらに気づき、手を振る。
わぁい、とばかりに手を振って小走りに近寄って行く。
「守!まだ、ここにいたの?」
ここにいるよ、とは言っていたけど、思わず言ってしまう。
「さっきぶりだねぇ。守」
行きしなとは違って、十夜も守に話しかけた。
白々しく、さっきぶりなんて言ってるけどさっき喋ってないじゃん。
「そうだな」
守もさらっと返してるし…。
ま、この2人はこんなもんか。
…ん、待って。
あたし、守と話してたよね。
少なくとも喋りかけたよね。
「ちょ、十夜!あたしが先に守と話してたんだけど⁉︎それから、守!早く答えてよ。一応疑問形式でしょ⁉︎」
2人とも、あたしを無視しないで!