桜の約束




案の定、守は悲しい顔をする。



守なずっと信じてる。


桜の記憶が戻ることを。



記憶が戻るか、絶対じゃないのに。



「だよな」



知ってた、とでも言うように守が頷く。



知ってたよね。そうだよね。



守だって、信じててもわかってる。



そんなにすぐに戻る物じゃないって。



…あたしが悲しい思いをさせてる。



わざわざ分かり切ったことを教えて。



あたし、性格悪い?



…そうだね。

そうかもね。



「桜の様子は?」



「ん?…あぁ、桜の様子ね」



黙っていた十夜が、あたしの代わりに答える。



いや、そもそも代わりじゃないかな。



あたしが勝手に話してただけだし…。



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