桜の約束
「ねぇ、守。桜に覚えててもらえないって、改めて知るのが怖いんでしょ?
守って、怖がりの弱虫だよね」
…十夜、何がしたいの?
あたし以上に、守を傷つける言葉。
弱虫?
弱虫なんかじゃないよ。
怖がり?
そんなわけないでしょ!
あたしの中でプツンと途切れるナニカ。
傍観でいようと決めたのに、勝手に動き出す身体と唇。
喉から出た音が言葉を紡ぐ。
「ちょ、十夜!やめてよ!」
守に背を向けて、十夜を向く。
十夜は、なにが楽しいのか笑ってる。
ううん。
この顔は笑ってない。
温度の下がった笑顔は、邪魔しないで?って言ってる。
邪魔するに決まってる!