桜の約束
なんだか、やるせない。
足音だけがあたしの耳に届いた。
家に帰って、一直線に自分の部屋に向かう。
部屋に入って、地べたに座り込んだ。
しばらくして、十夜からメールが入った。
内容は簡潔的。
桜と守が、友達から始めるらしい。
あ、そう。
ふーん…。
ぐちゃぐちゃになった感情がうまく機能してくれない。
あたしは、どこまでも楽観的なんだよね。
だから、桜がいなくなればあたしにもチャンスが、とか。
思ってたよ。
でも、やっぱり無理だね。
…ふと思ったけど。
桜の事故にあたしたちはとらわれてるのかも。
桜の事故があって、桜の記憶がなくなって。
十夜は空回りを始めたし、守は時が止まったようにその場にいる。
あたしは桜にいい顔しながら守のそばにいることを望んで。
桜は…。
あの日から、外出をあまりしなくなったよね。
桜のお母さんも、おかしいぐらいに桜を心配するようになったよ。
あたしたちは、あの日に囚われたのかな。
ただ、今は。
桜。記憶を取り戻すのが無理でも、守を悲しませないで…。