桜の約束




時間があるから長風呂して、風呂から出て部屋に戻る。



時刻は10時を回った頃。



ピロリン♪



言葉に置き換えにくい音がなって、メールの受信を知らせるオレの携帯。



開いてびっくりしてしまった。



桜。


ピピっと操作して、本文を開いた。



『今日は、ありがとう十夜。
おかげで、野上君と友達になれたの。
私だけじゃ、何もできなかったから本当にありがとう』



唇が緩んでしまった。



オレの、作り笑いじゃない笑顔。



思わず読み返しまくって、ボタンを何も押さなかったせいで暗くなった画面に自分の顔が写ってしまった。



「うーん。
こっちの方が不気味だよ?亜美」



作り笑いが胡散臭いと仰った亜美さんへ。と。



心の中でふざける。



作り笑いばっかりしてるからか、自分の笑顔は気持ち悪いんだよねぇ。



それなら、不自然な作り笑いの方がよっぽど自然。



不自然が自然…?


なんだか変なことだよねぇ。



それにしても…ありがとう、かぁ。



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