桜の約束
息子の名前の由来が、告白?
わけがわからん。
疑問が顔に出ていたらしく、その気持ちわかるよ、とばかりに十夜が頷き、説明してくれる。
「うんうん、その疑問は最もだよ。
オレもそれ思ったもん。でね、聞いてみたらさぁ、オレの両親ってできちゃった結婚だったけど、母さんの両親が結婚に反対、父さんは身を引こうとして…んで、生まれた子に『十の夜も君を想う』で十夜ってつける!って母さんが言い張って…
で、父さんが結婚を決めて、母さんの両親説得したんだけど…
なんか、割とどうでもいいよねぇ。
しかも、生まれた子が男じゃなく女だったらどうなってたんだ、みたいな疑問もあるしねぇ」
ははは〜とゆる〜く笑う。
それにしても、まさかそんないきさつがあったとは。
いや、割と本当にどうでもいいけど。
感動も特にしないけど。
「まぁ、いい両親なんだな…なのか?」
ありきたりな褒め言葉さえ、あっているのかわからなくなって首をひねった。
「さぁ?」
十夜も、首をひねって俺に同意する。
「で、守の名前の由来は?」
「へ?」
「いや、この話の流れだと聞かないとかなぁって」