桜の約束
まぁ、気づかれているのは仕方ないことで。
「気づいてるなら早いよねぇ。
とにかくオレは、桜のことだけを見てるんだよ。
もちろん、友達の守にも幸せになって欲しいよ。
でも、一番はやっぱり桜かな」
『あー、まー、俺に出来る限りはするよ』
戸惑いがちだねぇ。
ここは、俺が桜を幸せにする!って言い切るところだと思うんだけど。
『で、十夜。
もう過去に囚われるのはやめようぜって言うお誘いなんだが』
「ほう。え?」
なかなかに辛辣…いや、熱々?なお誘い。
『俺は、もう過去にこだわらない!
いや、拘るけど。
記憶のない桜に、昔のことを引っ張ったりはしない。
だからさ、十夜も変わらないか?って』
へぇー。
「せっかくのお誘いなんだけど、ごめんねぇ。
オレはその誘いに乗らないよ。
オレは、過去を覚えてないとねぇ。
好きな女のコの事故の原因になったのに、そんなことはできない」
『お前も頑固だよなぁ』
くふふ。
そう、頑固なんだよ。