桜の約束
キーンコーンカーンコーン……♪
「今日の授業はここまで!」
「きりぃーつ
姿勢をただしてぇー
れぇいー」
「「ありがとうございましたァー」」
授業で疲れたのか、何処と無くやる気のない礼。
俺も皆と同じような礼をする。
ガタガタと椅子を床に引きずる音が耳障りだ。
先生はパパッと今日の授業に使った教材を片付けると、脇目も振らずに教室を出て行った。
授業中の静けさは何処へやら。
教室内は賑やかになる。
俺の席の目の前に、十夜がやって来た。
「守。窓の外をじーっと見てたけど、何かいたのかなぁ」
ニタニタ、と言うのが1番似合いそうな笑顔を浮かべ、聞いてくる。
…わかってるんだろうな。
俺が桜を見ていたことなんて。
わかっている、と言うのはわかっていても、なにを見ていたかは言わないでおく。
恥ずかしいから。