桜の約束
結局、静かなのは嫌だから話し始めたのに、俺が黙った後は十夜も話し始めることはなく、再び静かな空気が流れる。
これ以上話題を広げようもなかったから、仕方なく賑やかにするのは諦めた。
何と無くさっきよりは気まずさを感じることもなく、一歩一歩歩を進める。
ようやく屋根が見えてきて、角を曲がると家が遠めに見えてくる。
誰の趣味かは知らないが、漫画やドラマに出てきそうな、派手な赤い三角屋根。
そこまでこじんまりとした大きさでもなく、中はそれなりに広々とした一軒家。
俺の部屋と、妹・心優-miyu-の部屋、それから両親の部屋と作って一部屋余る程度には広い。
「そうえば、オレが守の家に来るのは久しぶりだねぇ」
のんびりと、目を細めて俺の家を眺めながらそんなことを言う。
「…そうだな」
高校に入ってから、外で遊ぶことが多くてあまり友達を家に呼ばなくなった。
あと、心優が思春期に入って兄である自分を嫌がってる。
遊ぶなら、外で遊んで!と言われるのだ。
お兄ちゃんは寂しいぞ。
ちなみに、心優は俺のことをまもにぃと呼ぶ。
かわいい。