桜の約束
出掛けよう
うだうだ言ってる間に、時間過ぎるのあっという間だよな。
日曜日。
「母さん、今日桜と亜美と十夜と遊んでくるから」
「あら。あらあらあら。そうなの?」
あらあら言ってるけど、困った様子はなく、どちらかというと嬉しそうだ。
「久し振りね、そのメンバーで遊ぶの」
「…ああ」
本当に、久しぶりだ。
桜が記憶を失って、それと同時に4人の関係も少し崩れて、4人では遊ばなくなって。
だから、久しぶりだな。
修復するようにゆっくりと。
重ねた時が戻っていく。
あの頃と全く同じではなくても。
あの頃のように。
「じゃあ、ゆっくり遊んでらっしゃい。
最近はずっと、桜の木に行ってばかりで遊んでなかったものね」
そういえば、そうだな。
毎日毎日。
桜の下にいるのは、心地よかった。
約束したあの場所は、桜の記憶がなくても変わらなかった。