桜の約束

出掛けよう




うだうだ言ってる間に、時間過ぎるのあっという間だよな。



日曜日。



「母さん、今日桜と亜美と十夜と遊んでくるから」



「あら。あらあらあら。そうなの?」



あらあら言ってるけど、困った様子はなく、どちらかというと嬉しそうだ。



「久し振りね、そのメンバーで遊ぶの」



「…ああ」



本当に、久しぶりだ。


桜が記憶を失って、それと同時に4人の関係も少し崩れて、4人では遊ばなくなって。



だから、久しぶりだな。



修復するようにゆっくりと。



重ねた時が戻っていく。



あの頃と全く同じではなくても。



あの頃のように。



「じゃあ、ゆっくり遊んでらっしゃい。

最近はずっと、桜の木に行ってばかりで遊んでなかったものね」



そういえば、そうだな。



毎日毎日。



桜の下にいるのは、心地よかった。



約束したあの場所は、桜の記憶がなくても変わらなかった。



< 144 / 196 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop